INDIA INCORPORATION
日本人が、インドで会社を作りました。
西ベンガル州で非公開株式会社(Private Limited Company)を、 日本での書類準備から営業開始の宣言まで。 設立の手続きは代行会社に依頼しましたが、やり取りと判断はすべて自分で進めました。
かかった期間は、およそ9ヶ月です。
インドの法人設立について、日本語の情報は断片的にしか見つかりませんでした。 制度の説明はあっても、「日本人が、最初から最後まで、実際にどう動いたか」を通して書いたものが、ほとんどありません。
私自身、進めながら何度も「これを先に知っていれば」という壁にぶつかりました。 このページは、そのうち特に事前に知っておく価値があったと感じたものを、いくつか書き出したものです。
つまずいた場所
公証とアポスティーユは、日本国内でしかできない
パスポートと住所証明を公証役場で認証し、外務省のアポスティーユを付ける工程があります。これはインド国内では不可能で、家族の代理も、在インド日本大使館も使えません。つまり、インドに渡る前に日本で済ませておかないと、一度帰国することになります。私は公証役場に出向き、1通6,500円で処理しました。
国際運転免許証が、身分証として通った
会社名の申請と電子署名(DSC)の取得で本人確認を求められた際、国際運転免許証が受理されました。パスポート以外の身分証を求められたときの選択肢として知っておくと、手が止まりません。
OTPは、国際ローミングをONにしていないと受け取れない
インドの行政ポータルは、ほぼすべての手続きで携帯電話にワンタイムパスワードを送ってきます。日本の番号で登録していると、ローミングがOFFのままでは永遠に届きません。申請の当日に気づくと、その日は進められません。
企業省(MCA)からの差し戻しは、前提として動く
私の場合、最新の電気料金請求書と、賃貸オーナーが署名したNOC(異議なし証明)を追加で求められました。これは不備というより、通常の流れとして起こります。再提出時にはメールアドレス2つと電話番号2つ(現地ディレクターの連絡先を含む)が要ります。
資本金は多めに送り、KYC電文(MT199)を待つ
日本からSWIFTで資本金を送ると、着金はいったん保留されます。インド側の銀行が日本側の銀行にKYC電文(MT199)を要求し、それが返ってくるまで動きません。為替の変動を見込んで多めに送金し、余った分を日本へ返すのが現実的でした。着金証明(FIRC)は、その後の株式取得の報告で使います。
設立で終わりではない。州の税と登録が毎年ついてくる
西ベンガル州のプロフェッショナル税は、従業員も役員報酬もなくても、会社である限り毎年発生します。Shops & Establishment法の登録は事業開始から30日以内。年次コンプライアンスの代行パッケージに、これらが含まれていないことは珍しくありません。
全体の流れ
設立は単発の申請ではなく、次の工程が1本につながっています。 どこか1つが止まると、その先がすべて止まります。
- 日本で公証&アポスティーユ
- 会社名の決定
- 電子署名(DSC)の取得
- 会社名の承認・SPICe+ Part A
- 定款等の公証&アポスティーユ
- MCAへの追加提出(差し戻し対応)
- 設立証明書・PAN・TAN・DINの発行
- 会社印の作成
- ビザ取得(商用・帯同)
- FRRO登録
- 個人PANカードの取得
- 銀行口座開設と資本金送金(FDI)
- 監査人の選任(ADT-1)
- 株式の発行
- 看板と事務所の写真撮影
- 営業開始宣言(INC-20A)
この16工程に加えて、設立の後に州税・登録・年次申告が続きます。 私の場合は、ここが一番情報がありませんでした。
代行は行っていません
はじめにお伝えしておくと、設立の代行やコンサルティングは承っていません。法的手続きを商品として引き受けるのは、私の得意な領域ではないと判断しました。 このページは、これから同じことをする方が同じ場所でつまずかないように、 自分の記録を公開しているものです。
全記録
16工程の全手順を、有料記事にまとめました
上に書いたのは一部です。各工程で実際に何を求められ、何を提出し、どこで差し戻されたか。 費用と期間の実際の肌感。ビザと資本金送金の具体的な進め方。 それらを通しで読めるようにまとめたものを、noteで¥980で公開しています。
noteで読む →インドで暮らすこと、働くこと
このブログでは、法人設立に限らず、インドでの生活やヒンディー語・ベンガル語の学習についても書いています。


